鍼灸師について
給料と初任給 (1)
鍼灸師の収入は、勤務先の方針や経営状況、勤務地域などによって異なります。
現場の状況は以下のようなものです。
■近年の給与相場
近年の就職市場では、新卒者・未経験者の月給は18万円~25万円程度が相場で、経験者の場合は20万円~35万円程度が一般的です。
現場未経験者と、施術経験がある人では即戦力になるかどうかの違いがあるため、初任給の額にも差があります。
ただし、企業によっては初めから給与水準を高めに設定し、新卒既卒問わず同じ条件で働ける環境にしているところもあります。
一方、管理職としての役割や施術管理者の肩書、院長等の役職がついた場合は、35万円~100万円ほどの月給になる人もいます。
■収入の基準
鍼灸師の収入は、主に以下のような点で金額に違いが出ます。
・勤務エリア
首都圏や関西などの大都市部と、地方とでは収入が異なります。
大都市部の方が、初任給にしておよそ2万円~5万円程度高い傾向です。
ただし、地方でも人口密集エリアや、高齢者ニーズが高い地域などは、集客力があるので収入もそれに比例して高いところもあります。
・キャリア
はり師・きゅう師としての豊富なキャリアを持っていると、それが給与査定に反映されて給与も上乗せされるのが一般的です。
他資格を保有していることが査定アップにつながる場合もあります。
・勤続年数
同一の職場に長く勤務し、現場や経営に貢献している人は、昇給が積算され、月収・年収も徐々にアップしていきます。
こういった基準が勤務先によって査定され、貢献度に応じて給与額も変わります。
上記のようなものに加え、仕事上での「役職」も、給与に大きく関わってきます。
就いている役職によりますが、月収にして35万円程度から、100万円を超える人もいるようです。
■役職手当は勤務先への貢献対価
勤務先での役職に対する対価は、基本給に加算されたり、役職手当という形で付与されたりすることがあります。
たとえば現場の施術者と施術管理者を兼任する場合は、鍼灸の技術に加え、事務処理を正確に遂行できる能力が問われることになります。
院を運営する責任と資質が評価され、それに応じて給与も加算されます。
ほか、院長・副院長といった院をまとめる役職者や、広範囲に業務管理を行う役職者は、経験者の中でも月給が高くなります。
役職者、管理職者に求められるものは治療の技術だけではありません。院の売上を管理して、それに適した業務内容を考える経営力、スタッフへの技術指導や勤務管理ができる統率力、院外での付き合いや宣伝といった面での渉外力など、院全体を見通す視野の広さが必要です。
さらに、複数の鍼灸院を運営する企業では、院長よりさらに上の統括・エリアマネージャーという役職があります。
各店舗を把握して管理する必要があるため、より高いマネジメント能力が求められます。
役職者は採用業務も担当することが多く、自社に必要な人材の見極めと、求職者に対して自社の魅力を伝えることも仕事のひとつとなります。
はり師・きゅう師として長く活躍し続けていくためには、患者の信頼を得るための施術の実力はもちろんですが、職場への貢献や役職を担当することが給与のアップにつながり、ひいてはそれが生活の安定、仕事へのモチベーションアップにもなります。